エネルギー

電気自動車に革命を起こす「QuantumScape」が「全個体電池」開発

世界中で電気自動車がどんどん作られていますね。

ガソリン車は二酸化炭素(C02)を排出するので、地球温暖化の原因の一つです。

電気自動車であれば、電気を使って走るので二酸化炭素を出さず、環境に優しい。

地球温暖化の原因の「二酸化炭素などの温室効果ガス」の排出を抑える動きを「脱炭素化」といいます。

 

「脱炭素化」に欠かせない電気自動車の普及は欠かせませんが、1回の充電で長く走ることができる「電池」が必要になってきます。

本記事では、「なぜ電気自動車に変えなきゃいけないのか」「世界各国が電気自動車にどんな期待をしているのか」がわかります。

そして、今回ご紹介する「QuantumScape(クアンタムスケープ)」は電気自動車の電池業界の中でもっとも注目されている企業ですので、ご紹介していきます!
音声配信での解説はこちら↓

電気自動車に革命を起こす「QuantumScape」が「全個体電池」開発

「全個体電池」とは?

全固体電池は、従来の電気自動車に使われるリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高いため、同じ体積でより多くのエネルギーを蓄えることができます。

リチウムイオン電池にある液体やジェル状の電解物ではなく個体です。

まず、電池には2つの電極があります。

片側にアノード(マイナス極)、反対側にカソード(プラス極)というもので、間に電解液があって、充電したり放電したりするときに、電極間でイオンを動かして配達人のような働きをする。

こんな感じで電気を作って、自動車が走るときのエネルギーを作ってます。

しかし、全固体電池は液体ではなく、ソリッドな電解物だから、エネルギー密度がより高く、小型軽量のバッテリーで長距離の走行を可能になります。

 

「全個体電池」の優れた点3つ

★ 電池から発火のリスクがなく、ふつうの電気自動車にある冷却システムは不要

リチウムイオン電池は充電に1時間以上かかるけど、全固体電池は充電15分で80%ほど完了

★蓄電量はリチウムイオン電池の約3倍

 

全固体電池を使うと発火のリスクががないため、冷却システムがいらず、車が軽くなってコストも浮きますね。

従来のリチウムイオン電池は電解液を介して発電する仕組みですが、衝撃による破損や高温環境での使用によって発火・爆発を起こす危険性があるのです。。。

過去にはTeslaNIO(中国の高級EV車)も電池からの発火等、事故を起こしていました。

 

さらに、全固体電池は充電も非常に早い。

僕らがスマホを充電するときと同じように電気自動車も充電しますが、

従来の電気自動車だと約4時間の充電して約80km、約7時間の充電で走行距離160km走れます。

 

「QuantumScape(クアンタムスケープ)」だと充電時間15分程度で80%充電が完了、比較してみてもそのスゴさがわかります。

 

従来の電気自動車の電池(リチウムイオン電池)は?

基本的にEVの電池は、「リチウムイオン電池」というものを使い、充電時、走行時に高温になると電池の劣化が始まります。

早く充電したいときは高電圧を使う急速充電という方法がありますが、高温になりやすく劣化のスピードが早いので、電圧の低い普通充電を利用する方が、電池には優しい充電方法です。

 

普通充電と急速充電の使い分けは、日常は普通充電して、遠出するときだけ急速充電を行うというのが基本。

出かけた先の駐車場にクルマを長時間停車するときに、普通充電を行うことも推奨されていますね。

 

また、リチウムイオン電池は10年以内に容量の3分の1近くを失い、可燃性物質のため安全上の深刻なリスクがあります。

この一連の問題に対する解決策として何十年も前から知られている技術が、全固体電池。

液体の電解質(電極間でリチウムイオンを運ぶもの)の代わりに固体の電解質を使うという、一見すると単純そうなアイデアに基づく技術ですが、多くの自動車メーカーが全固体電池を追究しても、コストなどが同技術の商業化の障壁になっていたのです。

つまり、「QuantumScape(クアンタムスケープ)」「全固体電池」はEVが抱えるバッテリーの課題を解決する技術として注目されています。

しかも、創業当初からマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も出資しているので、ますます期待が高まっています。

 

Volkswagenとタッグを組んで電気自動車を生産予定

2012年、Volkswagenは直近2020年に2億ドル(約210億円)も含めこれまでに計3億ドル(約320億円)をQuantumScapeに投資。

VolkswagenとQuantumScapeの関係の中心にあるのが、全固体電池技術の開発の加速と2024年後半に大量生産を目的に2018年に設立された合弁会社です。

 

Teslaやトヨタ、日産などの競合車種の性能を遥かに上回る電気自動車を作り出しそうです!

 

なぜ世界中で電気自動車の普及が進んでいるのか?

「パリ協定」によって脱炭素化が目標となっている

【パリ協定の概要】

  • 世界共通の長期目標として産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑える事、また1.5℃未満へ抑制する努力を追求
  • 削減目標に対する実施状況についてレビューを受けながら、5年ごとに目標を更新、提出
  • 先進国の資金提供に加え、途上国も自主的に資金を提供すること

 

要は、みんなで地球温暖化を食い止めよう!ということです。

パリ協定には190以上もの国と地域が参加しており、脱炭素化に向け定めた目標の実現を、それぞれの国・地域が進めています。

日本の脱炭素化の目標は、菅総理は2020年10月に行った所信表明演説で、「2050年カーボンニュートラル宣言」をしました。

2050年までに、温室効果ガスの排出量をゼロにするという宣言です。

 

これ以上地球温暖化が進むと、海水面が上昇して人間の住む土地がなくなっていくというレベルではなく、温度が上がることで自然災害や疫病が発生しやすくなるという、ヤバいところまで人間は地球を汚染しつづけてきた、というわけです。

今後、いろんな乗り物のスタートアップが登場しますがそのほとんどが、「脱炭素化」「カーボンフリー(二酸化炭素を出さない)」エネルギーを使っています。

電気や、水素が中心です。

世界中の投資家も「環境に優しい製品か」「生産過程に環境汚染を引き起こす原因はないか」という点を重視していくでしょう。

 

一番インパクトがあったのは、アメリカのカリフォルニア州知事が「2035年までに新車のガソリン車販売禁止を目指す」というニュースだと思います。

まとめ

いかがでしたか?

全固体電池、スゴくないですか?

まさにテクノロジーの進化ですね、最後にかんたんに従来のリチウムイオン電池と全固体電池の比較表をまとめましたので、参考に。

リチウムイオン電池(従来の電気自動車) 全固体電池(「QuantumScape(クアンタムスケープ)」)
充電時間 約4時間の充電して約80km 約15分で80%の充電が完了
安全性 劣化、衝撃による発火のリスクあり 発火のリスクなし(冷却システムも不要)
航続距離 200マイル(約320km) 300(約480km)〜400マイル(約640km)

よりクリーンなエネルギーで走る車が世界中で使われることで、地球温暖化を食い止める手助けになりそうですね!

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